アルコール依存症の自助グループ 断酒会とAA
アルコール依存症を克服するために、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)などの自助グループに参加することをおすすめします。
入院治療のあとに長期間の断酒を成功している人はわずか10〜15%というデータがありますが、この成功者のほとんどが自助グループに参加しているといいます。
このことからも自助グループに入ることでアルコール依存症から立ち直れる確率が高まることがわかります。
断酒会もAAも参加者は全員アルコールに関する問題を抱えた人たちです。
参加者たちは毎月自主的に集まって、自分の飲酒体験や悩みを皆に話します。
どちらのグループも「言いっぱなし・聞きっぱなし」が原則で、発言内容を問われることはありません。他人の辛い飲酒体験を聞いたり自分の飲酒体験を話すことで、自己反省の気持ちが生まれ断酒を継続する自信がわいてきます。
どちらのグループもアルコールに関する問題を克服するという目的で運営されていて、その手段も同じです。
また、宗教的なグループではありません。
それぞれのグループの特徴や違いは以下のとおりです。
AAとは
AA(アルコホーリクス・アノニマス)は、1934年にアメリカで始まり、1970年代に日本に導入されました。
参加者は匿名で参加できるので、実名を明かす必要はありません。
AAでは「12のステップ」という依存症回復プログラムが活用されています。
毎月各地でミーティングが開かれ、依存症者のみが参加できるクローズド・ミーティングと、本人をはじめ家族や関係者も参加できるオープン・ミーティングがあります。ただし、通常は家族に発言権はありません。
家族は「アラノン」というアルコール依存症者の家族のための別の自助グループに参加します。
断酒会とは
断酒会(だんしゅかい)は、アメリカのAAを参考に1958年に結成されました。
全国各地にある断酒会を総括する組織が全日本断酒連盟です。
参加者は実名を名乗る必要があります。
毎月各地で行なわれる例会には、依存症者本人のほか家族も一緒に参加できます。
例会では、参加者やその家族が飲酒にまつわるどん底体験を語り続けます。
AAと断酒会の違い
以下はAAと断酒会の主な違いです。
形態
AAは組織を持たないグループです。
断酒会は組織的に運営されいています。
匿名性
AAは匿名(ニックネーム)で参加できます。
断酒会は実名を名乗る必要があります。
会費
AAは会費や入会金はありません。そのときに出せる金額を献金箱や献金袋に入れます。
断酒会は会費や入会金を支払う必要があります。
集まり
AAは原則本人のみが参加します。発言したくない場合はパスすることもできます。
断酒会は家族も参加します。出席者全員が発言します。
両方のグループに参加している人もいますので、まずは参加してみて自分に合ったグループを見つけるといいでしょう。
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